心音の正しい聴診の方法
皆さん正しい聴診の方法をご存知ですか?
知ってる方も、ここでもう一度おさらいしてくださいね
動画・音声に接続できるようになっています
聴診器について |
|
1.
集音部は、ベル型部分と膜型部分が切り換えられる構造になっており、ベル型は低音性の音、膜型は高音性の音に特性を有しており、それぞれ心音と呼吸音・血圧の聴診に適している。但し、心音の中では、僧帽弁口、三尖弁口の音にはベル型を、大動脈弁口、肺動脈弁口の音には膜型ヘッド使用するのがよい。 2. 管部は短い方が音の伝導によいが、短すぎると操作性が落ちるため、40〜50pのものがよく、また、イヤーピースは、使用者の耳にフィットするものを選ぶ。 3. 局所体表面に聴診器を当て、体腔内の臓器、脈管が発生する様々な機能音を聞き取り、その性状から、病体の有無、程度を判断する。 4. 聴診器を体表に当てる。膜型は、体壁にぴったり押しつけて用いる。ベル型では特に軽く当てることが肝要である。(密着すれども圧迫せず。ベル型を強く当てると、皮膚面が膜様効果を起こして低音特性を発揮しにくい。また、胸郭などの動きのある部位では集音部が体表面に対して動かぬように、そして、指などが使用していない集音部に触れないように注意する。) 5. 例えば、胸部の聴診では聴診部位と順序があり、その解剖学的な位置関係を理解、考慮しつつ、聴取した音を評価、解析、判断し記載する。 |
|
聴診手順 聴診手順参考動画を見る | |
1.聴診器の膜型で、最初は心基部(大動脈弁、肺動脈弁領域)から聞き始め、胸骨左縁に沿って下へと、三尖弁領域、僧帽弁領域(心尖部)へと聴診していく。(移行聴診) 2.上記の順に、I音、II音、収縮期雑音、拡張期雑音と別々に集中しながら、音を聞いていく。聴診するときは、患者さんに呼吸を止めてもらい、その時は、ナース自身も、呼吸を止めるのが原則である。 3. 心基部、特に肺動脈弁領域では高調なII音の識別が容易である。心尖部ではI・II音の区別が明瞭だが、心基部ではっきりしないときは逆の方向で行えばよい。1インチ(約25センチメートル)ずつ、聴診器をずらしていくことから、この操作は、インチングともいわれる。 4.又、心尖部では、膜型と、ベル型の両方で聴診を行う。 |
|
心音の基本 | |
I音……発生機序は、房室弁閉鎖(心室収縮期の開始)である。持続時間が長く鈍い音であり、最高聴取部位は心尖部である。 II音……発生機序は、半月弁閉鎖(心室拡張期の開始)である。持続時間が短く高調な音であり、最高聴取部位は心基部である。 心音の、聴診主要部位として、大動脈弁領域(第2肋間胸骨右縁)、肺動脈弁領域(第2肋間胸骨左縁)、三尖弁領域(第4肋間胸骨左縁)、僧帽弁領域(心尖部)がある。又、大動脈弁領域と肺動脈弁領域をあわせて心基部という。 |
|
正常心音の理解 | |
I音、II音はラブ-タップと聞こえる。I―II音間隔は収縮期、II―I音間隔は拡張期である。I―II音間隔は、II―I音間隔より短い。 I音は心尖部で、II音は心基部で最もよく聴こえる。 II音は半月弁の閉鎖により生じ、大動脈弁成分(IIA)と肺動脈弁成分(IIP)の2成分よりなっている。 正常では、IIAがIIPよりやや先行する。IIA・IIPの分裂は吸気時の終わりに明瞭となる(正常吸気性分裂)。これは、吸気時に静脈還流が増加し、右室の一回拍出量が増すことで、IIPが遅れ、左室駆出時間は反対にやや短縮してIIAが前進するためである。 |
|
実際に聞いてみよう(正常または無害音) | |
音声(心尖部のI音とII音) 心尖部はI音の最良聴診部位である 音声(心基部のI音とII音) 音声(正常呼吸性分裂) 音声(I音の分裂) 音声(無害性雑音) |
|
実際に聞いてみよう(心壁・動脈の異常音) | |
音声(病的呼吸性分裂)症の例である。 呼気時にも0.02秒以上の幅で分裂している。肺動脈狭窄の例である。 音声(II音肺動脈成分の減弱) 音声(II音肺動脈成分の亢進) 音声(器質性収縮期駆出性雑音:肺動脈狭窄 音声(器質性収縮期駆出性雑音:ファロー四徴症) 音声(相対性収縮期駆出性雑音:心房中隔欠損) 音声(II音の固定性分裂) 音声(全収縮期逆流性雑音:心室中隔欠損) 音声(連続性雑音:動脈管開存) |
|
実際に聞いてみよう(動脈弁の異常音) | |
音声(亢進したI音) これは、僧帽弁狭窄症の例である。 音声(心室充満雑音:僧帽弁狭窄) 音声(心房収縮性雑音:僧帽弁狭窄) 音声(心房細動を伴った僧帽弁狭窄の雑音) 音声(僧帽弁開放音) 音声(I音の減弱) 音声(III音) 音声(全収縮期逆流性雑音:僧帽弁閉鎖不全) 音声(拡張期逆流性雑音:大動脈弁閉鎖不全) 音声(器質性収縮期駆出性雑音:大動脈弁狭窄) 音声(相対性三尖弁狭窄) |
|
実際に聞いてみよう(複合型異常音) | |
音声(心房音) I音に先んじて聞こえる。心室壁の肥厚、硬化に原因があり、心室収縮期負担を表す。左心系では高血圧、大動脈弁狭窄、肥大型心筋症、右心系では肺動脈狭窄などの際にしばしば聴取される。 音声(駆出音) |